【B】ネタバレなしの映画☝感想『ゴーン・ガール』
さて、今日のイチオシは『ゴーン・ガール』。監督、D・フィンチャーは類いまれなる才能の持ち主である。
「セブン」、「ファイト・クラブ」、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」、「ソーシャル・ネットワーク」、「ドラゴンタトウーの女」・・・・。
今あげた5本は、どれも観客の目を釘付けにし、ラストまで息もつかせぬ展開で楽しませてくれる。
彼の映像の特徴として、映像のスタイリッシュさをあげる人が多い。どれも色調を抑えた暗い画づくりなのだ。それは元々、ミュージックビデオやCM制作からキャリアをスタートしたことに起因するのかもしれない。
そのフィンチャーも監督デビューは、ほろ苦いものだった。初監督作品としては史上最高の製作費で作られた「エイリアン3」。ストーリーがあまりにも暗く、興行的にも内容的にも失敗作に終わっている。また主演女優のシガニー・ウィーバーとのトラブルが絶えず、「アンタこそエイリアンよ!」と言われたのは有名な逸話。
6.4(水)リリース『ハウス・オブ・カード 野望の階段』トレーラー - YouTube
最近はドラマも撮っており『ハウス・オブ・カード 野望の階段』ではアメリカの政治の内幕をサスペンス・タッチで描き、高い評価(アメリカで“TV界のアカデミー賞”と呼ばれるプライムタイム・エミー賞)を得ている。
さて、『ゴーン・ガール』である。感想などと書いて大変恐縮なのだが、予備知識や見た人の感想を一切聞かずに、見に行かれることをおすすめしたい。もし、みなさんの周りの映画好きの友人が「あの映画はね~」と得意げに話し始めたら、耳をふさいでほしい(笑)
サスペンスである以上、先入観なしに見られた方が、間違いなく愉しめるからだ。
そして、期待以上の作品であると断言したい。2014年、ぼくが見た31本の中でBESTだった。
ただ、この主役の夫婦のことだけは、予備知識として頭に入れておいてもいいかもしれない。ニューヨークで2人とも雑誌ライターをしていたのだが不況の影響で失業する。夫の母親がガンを発症させたために、妻が愛するニューヨーク市から彼の地元である田舎のミズーリ州に引っ越すのだ。
以下、長谷川町蔵氏が英語ジャーナル1月号で書かれていた文の引用である。
”時代設定が2010年であることが重要だ。夫妻がそれまで暮らしていたNYからミズーリ州に引っ越してきたのは、その2年前。引っ越しの原因はリーマンショックによる不況と電子書籍の流行の犠牲者なのだ”
そうリーマン・ショックによる不況とAmazonを中心とする電子書籍の流行で、雑誌ビジネスに不況の嵐が吹き荒れた。そのあおりを受けて夫妻は失業した。もし、それがなければ、ミズーリ州に引っ越してくることはなかっただろう。
最後に、もう一度みなさんにお伝えしたい。映画館で見るにしろ、DVDで見るにしろ、この作品だけは、友人の感想や予備知識なしで、是非。
そして、見終わったら、一緒に見た人とあるいは既に見た人と映画の解釈や内容について盛り上がると愉しさが2倍いや3倍になるのではないだろうか。