この10年で圧巻の読みごたえ!! 小説『罪の声』について
さて、今日ご紹介するのは「グリコ・森永事件」を題材にして書かれた小説「罪の声」です。
1984年におこった「グリコ・森永事件」。ターゲットが子どもの大好きなお菓子で、犯人が実際に青酸入り菓子をばらまいたこと。
犯人が「かい人21面相」と名乗り、企業を脅迫するだけでなく、社会を巻き込む劇場型犯罪のはしりとされたこと。
結局、彼らは逮捕されず、時効が成立し未解決事件となってしまいました。
特に、40代以上の方は、はっきりと覚えてあるのではないでしょうか。あの犯人の似顔絵である「キツネ目の男」とともに・・・・。
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1.内容紹介
講談社BOOK倶楽部のサイトから本の紹介を引用させてもらいます。
逃げ続けることが、人生だった。
家族に時効はない。今を生きる「子供たち」に昭和最大の未解決事件「グリ森」は影を落とす。
「これは、自分の声だ」
京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだった――。
未解決事件の闇には、犯人も、その家族も存在する。
圧倒的な取材と着想で描かれた全世代必読!
本年度最高の長編小説。
昭和最大の未解決事件―「ギンガ萬堂事件」の真相を追う新聞記者と「男」がたどり着いた果てとは――。
気鋭作家が挑んだ渾身の長編小説。
昭和最大の未解決事件「グリコ・森永事件」を題材にした傑作ミステリー。
「週刊文春」ミステリーベスト10 2016国内部門第1位!
第7回山田風太郎賞受賞作。朝日新聞「天声人語」など各種メディアで紹介。
2.圧巻のリアリティ
418ページあるのですが、一気に読みました。時間にすると6時間ぐらい。
途中、小説なのか事実なのかが分からなくなってきて。まるで、ノンフィクションを読んでいるような感覚になります。
このリアリティは、作者の塩田武士氏の元新聞記者(神戸新聞)というご経歴にあるのでしょう。新聞記者の仕事ぶり、上司との人間関係、警察とのつながりなど、細部にわたり、描きこまれています。
だからでしょう。物語の世界にぐいぐいと引き込まれていく。
「早く先が読みたい」。ラスト1ページまでそう思いながら、ページをめくりました。
塩田氏はインタビューの中でこう述べられています。
『この一冊を書くために、「グリ森」の関連書籍や公表されている資料に可能な限り当たったのはもちろん、事件が起こった84年から85年にかけての新聞すべてに目を通しました。事件現場にも何度も足を運びましたし、周辺に住んでる方への「聞き込み」もやりました。そこまで徹底して下地作りに取り組んだのは、これが僕にとっての「原点」であり、「勝負作」であるからです』
未解決事件のナゾ解きに自分も参加しているような臨場感。
あまりにも没入しすぎたせいでしょうか。物語の後半あたりで、背中がぞくそくして怖くなりまして。ねる前に戸締りを再確認したぐらいです(苦笑)。こんな感覚をあじわったのは、宮部みゆきさんの「火車」以来かなぁ。
3.映像化されたら、俳優さんは?
この作品は、間違いなく映像化されるでしょう。個人的には、時間が限られる映画よりも、テレビドラマでやって欲しい。クオリティの高いWOWOWドラマで(笑)
話がそれましたが、物語の登場人物を、どの俳優さんに演じてもらうか?
そういうことを考えながら読むと、おもしろさが倍加するのでは。
それぐらい、映像向きの小説だと思うんです。
ツイッターでも、かなり話題になっているようでして(苦笑)
『新聞記者の阿久津英士=中居正広、テーラーを営む曽根俊也=草なぎ剛』で映像化して欲しいとTweetされる方が多いのには、びっくりしました。
ぼくなら、こんな感じ・・・・
❶新聞記者阿久津=妻夫木聡
引用先:妻夫木聡 - Wikipedia
❷鬼のデスク鳥居=遠藤憲一
引用先遠藤憲一公式サイト
❸テーラー店主の曽根俊也=山田孝之
引用先STARDUST - スターダストプロモーション - 山田孝之のプロフィール
❹生嶋総一郎=滝藤賢一
引用先プロフィール
❺曽根達雄=渡部篤郎
引用先STARDUST - スターダストプロモーション - 渡部篤郎のプロフィール
あなたが監督なら、どの俳優さんをキャスティングされますか?
4.関連作品について
「グリコ・森永事件」をテーマとした小説といえば、何と言っても高村薫氏の「レディ・ジョーカー」。単行本になったのが1997年ですから、20年前の作品。
これは、おもに犯人側の立場から描かれた小説で、犯人VS警察という対立構造が軸となります。なぜ犯人が企業を脅迫したのか? かなり細かく描かれており、読み応えがありました。すっごい分厚いですけど( ^ω^ )
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2004年に映画化され、2013年3にWOWOW「連続ドラマW」枠でテレビドラマ化されました。
映画版は劇場で見たのですが・・・。「この脚本と豪華キャストでこれですか?」と突っ込みたくなるような出来具合いで。そもそも、文庫で3巻というボリュームのある話を121分という時間で映画化することに無理があったのかもしれません。
先に述べた通り、WOWOWのドラマ版の方が圧倒的に見応えがあるので、断然、おすすめです。
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☝︎最後のイチオシ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
先日、立ち読みしていたら、この「罪の声」のマンガ版がイブニング(毎月第2・第4火曜日)に連載されているので、びっくり。メディアミックス進行中です。
ひさしぶりにドキドキしながら読んだ社会派ミステリー。映画かドラマで観てみたい。映像化されることを期待しましょう。
文房具もいいけど、読書もいいですねぇ。
以上、この10年で圧巻の読みごたえがあった小説『罪の声』についてでした。
NO BUNBOUGU,NO LIFE!